日本三大陶器祭り>せともの祭、土岐美濃焼まつり、有田陶器市
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最終更新日:2016/09/21
祭り
日本国内には陶器を名産品とする地域がいくつもあります。そうした地域では陶器の販売や展示だけでなく、イベントとして瀬戸物市を開催しているところも多くあります。中でもとくに有名な陶器の産地で開催されているイベントを、日本三大陶器祭りと称しています。
愛知(瀬戸)・せともの祭
愛知県瀬戸市(せとし)は、瀬戸焼と呼ばれる陶器の生産地でした。瀬戸焼は陶器の代名詞として「瀬戸物」の由来になったほど大規模に生産され、瀬戸は日本有数の窯業の町として栄えました。
瀬戸という言葉からは瀬戸内海など海を連想させますが、瀬戸市は海のそばではなく内陸部に位置します。瀬戸という言葉は「音戸ノ瀬戸」などのように海峡のような狭い海の出口のことですが、もともとは川などの流れが狭いところから開けた場所に出るところを指す言葉でした。瀬戸市は狭い山間部を流れてきた川が開けた場所に出るところにあり、これは瀬戸という言葉のもともとの意味にしたがった地名ということになります。
瀬戸市はガラスや陶磁器の原料となる粘土や珪砂(けいしゃ)が産出します。そのため10世紀ころから焼き物づくりがはじまり、鎌倉時代には加藤四郎左衛門景正が陶器の製造をはじめました。加藤四郎左衛門は藤四郎とも呼ばれ、瀬戸焼の開祖といわれています。江戸時代には尾張藩が陶器製造を独占産業とし、18世紀後半には磁器の生産もはじめています。
明治時代になると瀬戸市の窯業はさらに拡大し隆盛を迎えますが、戦後になると輸入材料や大量生産品に押され、衰退していきました。現在では、瀬戸物の生産は観光資源としての位置づけとなっています。
こうした背景から、「せともの祭」はイベントとして陶器の安売り市として開催されています。毎年9月の第2土曜日と日曜にかけて行なわれ、約50万人ほどが訪れます。
岐阜・土岐美濃焼まつり(ときみのやきまつり)
岐阜県には美濃焼(みのやき)という伝統工芸品があります。美濃は岐阜県の旧国名ですが、土岐市(ときし)、多治見市(たじみし)、瑞浪市(みずなみし)、可児市(かにし)の一帯は陶磁器の有力な産地として古くから窯業が盛んに行なわれてきました。平安時代の須恵器(すえき)をルーツとし、16世紀には織田信長の経済政策により瀬戸の職人が招かれるなどして窯業が盛んになり、現代では日本の食器の約半数を生産する大窯業地となっています。また生産量だけでなく、戦国時代末期から江戸時代初期に吉田織部(よしだおりべ)がはじめた創意工夫を凝らしたつくりも特徴のひとつで、織部好みとして知られています。
土岐市では、毎年5月3日〜5日にかけて、土岐美濃焼まつりとして陶器廉売市が開催されます。ほかにもイベントや催し物が多数あり、毎年30万人以上の人でにぎわいます。
佐賀・有田陶器市(ありたとうきいち)
有田陶器市は、佐賀県西松浦郡有田町でゴールデンウィーク中に毎年開催されるイベントで、陶磁器の販売を行ないます。
有田は有田焼などで知られる陶器の町で、陶器市は100回以上の開催という伝統あるイベントです。1896年の陶磁器品評会をルーツとし、戦後には半端物や傷物などの低級品も含め、豪華なものから100円以下の安いものまで幅広く集めて取り扱うスタイルとなりました。有田焼といえば鍋島藩や皇室に献上された豪華なつくりの高級品として知られていますが、そうした背景から陶器市では安価なものも多く取り扱われています。またこの時期に合わせた陶芸家の作品も多くつくられるなど、バラエティ豊かな陶器が登場します。
そのため、単に安く陶器が買えるだけではなく、客の目利きと店との駆け引きを楽しむイベントとなっています。
有田陶器市に訪れる人は非常に多く、休日は20万人以上、平日でも数万人がやってきます。市内には多数の陶器店がありますが、人出が多いために目当ての店にたどり着くには相応の計画性が必要です。西九州自動車道の開通や臨時列車の運行により、期間中の交通の便は比較的良好となっています。
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