日本三大火祭り>道祖神祭り、鞍馬の火祭、那智の火祭り

公開日: : 最終更新日:2016/07/21 祭り


日本の祭りには多様な種類のものがありますが、とくに火を使うことが重要となる祭りを火祭といいます。とくに日本全国で開催される「どんど焼き」が火祭の典型とされ、小正月行事として催されます。これは空き地に藁を積み、正月に使ったしめ縄や門松、地域によっては書き初めの作品などを各人でもちよって焼却します。厄払い行事でもあり、このときの灰を持ち帰って家のまわりに撒くと、縁起がいいといわれています。
こうした火祭のうち、有名なものが日本三大火祭りといわれています。そのチョイスには諸説あり、ここでは4つの祭りをご紹介します。

長野・道祖神祭り(どうそしんまつり)

道祖神祭は、長野県の野沢温泉村で開催されている祭りです。道祖神というのはもともとは村の境界などに祀られる神で、村の守り神や、子孫繁栄、交通安全の神として信仰されています。とくに古いものは男女一対の神とされ、子孫繁栄の神としての色が濃く残っています。
野沢温泉村の道祖神祭りは国の重要無形文化財に指定されており、村を上げた大きな行事です。25歳の厄年の男性、41歳の厄年および前厄後厄の男性が参加する祭りで、のべ1週間かけて準備をして祭りに取り組みます。祭本番は毎年1月の13〜15日で、村を男衆が神木となる木を引き回し、それらを組み上げて高さ20メートル近い社殿をつくり、最終的には火をつけて燃やすという内容となります。
社殿に火をつける際には男衆が村で種火を貰った松明を持って集まり、その松明で打ち合いを行ないます。その打ち合いは火傷上等の勇壮なもので、さらに社殿もかなり派手に燃えあがります。その様子から、毎年多くの観光客を集めています。また、火祭の火で炙った餅は無病息災の縁起物とされています。

京都・鞍馬の火祭(くらまのひまつり)

鞍馬の火祭は京都市左京区にある由岐神社(ゆきじんじゃ)の例祭で、940年に由岐神社が当地に遷座されたことに由来します。このとき、道中に篝火を焚いた光景が地元住民の心に深い印象をあたえたことから、遷宮の出来事を伝える目的で火祭として続くようになったといわれています。
火祭は毎年10月20日の夜に開催され、地元集落の人々により開催されます。松明や神輿などは関係者以外一切触れることができず、現地に縁のある男性の成人の儀式や女性の安産祈願としても意味があること、集落が狭いことから、見学については難しいものがあります。

和歌山・那智の火祭り

那智の火祭りは、和歌山県の熊野那智大社の例大祭である扇会式法会(おうぎしきほうえ)の通称です。扇祭ともいわれ、例年7月14日に開催されています。もともとは、熊野牟須美神(くまのむすみのかみ)を花窟神社(はなのいわやじんじゃ)から勧進したことによるものとされ、現在では農事繁栄・五穀豊穣の祭と考えられています。火と水の祭としても知られ、例大祭には松明を灯した使者が石段を登って行き、それらが円陣を組んで神輿に火の粉を浴びせます。また水は滝をご神体とする熊野那智大社の象徴ともいえるもので、滝にかけたしめ縄を掛け替えるなどの準備が行なわれます。

福岡・鬼夜(おによ)

鬼夜は、福岡県久留米市の大善寺(だいぜんじ)で毎年1月7日に行なわれる祭事です。
鬼夜は追儺(ついな)祭事であり、宮中行事に由来するものです。追儺は節分の豆巻き行事の原型となったもので、鬼を追い払い厄払いをするというものとなっています。大善寺の鬼夜は、368年に勅命を受けた玉垂命(たまたれのみこと)が桜桃沈輪(ゆすらちんりん)という悪徒を討ち取り、首を松明で焼き払った故事が起源といわれています。
鬼夜は大晦日から1月7日まで開催される鬼会(おにえ)のクライマックスであり、全長13メートルの大松明が境内を練り歩くものとなります。大松明の火は大晦日に灯され神殿におかれるもので、神職が国家安泰と五穀豊穣を祈願したものです。また大松明はその間の1月4日に境内でつくられます。

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