日本三大くんち>博多おくんち、長崎くんち、唐津くんち

公開日: : 最終更新日:2016/08/14 祭り


九州北部では祭りのことを「くんち」といいます。また祭りを奉納する神社に敬意を評して「おくんち」と呼ぶこともあります。このくんちという名称の起源には諸説あり、秋祭りが旧暦の9月9日に行なわれたことから、九日(くにち)が訛ってくんちになったという説や、収穫祭として神に供え物をする日であることから供日(くにち)となったという説などがあります。
くんちは福岡県や佐賀県、長崎県で数多く行なわれており、その中でとりわけ規模の大きなものを日本三大くんちとしています。ただし、セレクションについては比較的新しいもので、誰がどのような基準で選別したものなのかは、わかっていません。

福岡市櫛田神社(くしだじんじゃ)・博多おくんち

博多おくんちは、福岡市博多区にある櫛田神社の秋の例祭です。もともとは新嘗祭(にいためさい)として行なわれていた祭を、日程と名称を変更し1953年から新しくはじめた祭です。櫛田神社の歴史は757年からと古いものとなっていますが、おくんちは新しい祭りであり、そのため日本三大くんちのセレクトもこの年よりあとによるものとなります。
開催は毎年10月23日に大祭、24日に本祭となっています。本祭で御神幸(ごしんこう)が街を練り歩きます。御神幸とは神が宿った神輿などを中心として行列をする行事のことで、博多おくんちでは、牛車で神輿を引き、獅子頭や稚児行列、ミス福岡が乗ったオープンカー、ブラスバンドなどが列を作ります。また、祭期間中は献茶式や相撲大会、柔道大会が開催されます。

長崎市諏訪神社(すわじんじゃ)・長崎くんち

長崎くんちは、長崎市にある諏訪神社の例祭で、国の重無形民俗文化財に指定されています。長崎は古くから貿易港として栄えたことから、中国や西洋の文化の影響を受けた独特でダイナミックな奉納踊が特色です。また、笠鉾や曳物、太鼓山といった京都や堺の祭りの影響を受けた山車も見ものです。開催期間は10月7日から9日までの3日間となっています。
地域ごとに演じ物を披露する踊町(おどりちょう)、神輿担ぎを担当する神輿守町(みこしもりちょう)、世話卓をする年番町(ねんばんちょう)が年ごとに割り振られるほか、祭りのシンボルである笠鉾(かさほこ)を担ぐ担ぎ手は専門の団体が担当する決まりとなっています。

祭りの起源は、1634年に遊女である高尾と音羽が謡曲を神前奉納したことがはじまりと言われています。出し物として有名な鯨の潮吹きは、鯨の形をした曳物と小舟の曳物、納屋の曳物により冬の鯨の追い込み漁を再現したものですが、これがはじまったのは1778年のことであり、祭の歴史の長さをうかがわせます。また龍の形をした担ぎ物をする龍踊り(じゃおどり)も有名です。ほかにも数多くの名物があり、非常に見どころの多い祭となっています。

佐賀県唐津市・唐津くんち

唐津くんちは、佐賀県唐津市にある唐津神社の秋の例大祭です。開催日は毎年11月2日から4日の3日間となっています。
その起源は1661年から1672年の寛文年間のこととされ、現在に近い形になったのは1819年からとされています。漆の一閑張(いっかんばり)と呼ばれる和紙を重ね張りし形を出したものに、漆を塗って仕上げる手法で作られる巨大な曳山(ひきやま)が、太鼓や鐘にあわせて曳子たちの掛け声とともに旧城下町を練り歩きます。この曳山は非常に豪華なもので、現代円に換算すると2億円にのぼる制作費がかけられていると言われています。この曳山行事は国の重要無形文化財に指定されています。
唐津くんちの曳山は、14の町それぞれが所有しており、巨大な獅子頭や兜などの工芸品を台車に載せたものとなっています。それぞれの曳山は町ごとにことなったモチーフとなっており、また作られた年代も古く1819年に制作されたものすらあります。14の町では曳山の管理だけでなく、伝統の維持と後継者の育成、町同士の結束などに努力を重ねています。またそのために、祭の期間以外にもレクリエーション企画なども多く行なわれています。町の住人たちが祭りの主役であることが、唐津くんちの特色と言えます。

スポンサーリンク

関連記事

日本三大奇祭>国府宮裸祭、尻叩き祭り、御柱祭

日本には数多くの祭りがありますが、風変わりな風習や独特な形態をもったものを奇祭(きさい)といいま

記事を読む

日本三大凧合戦>白根大凧合戦、浜松まつり凧合戦、いかざき大凧合戦

凧の遊び方のひとつに凧合戦というものがあります。ルールはいくつかあるのですが、凧糸に刃がついたパ

記事を読む

日本三大美祭>高山祭、祇園祭、秩父夜祭

日本三大美祭とは、祭の様相が美しいといわれる高山祭(たかやままつり)、祇園祭(ぎおんまつり)、秩

記事を読む

日本三大曳山祭>祇園祭、高山祭、秩父夜祭

日本の祭りの中には、曳山祭(ひきやままつり)というものがあります。曳山というのは山車(だし)とも

記事を読む

日本三大七夕祭り>仙台七夕祭、湘南ひらつか七夕まつり、安城七夕まつり

夏の代表的な行事のひとつが、七夕です。七夕は東アジアや東南アジアに幅広く存在する節句のひとつで、

記事を読む

日本三大裸祭り>古川祭り、若宮八幡神社裸祭り、西大寺会陽

日本の祭りのなかには、裸祭りといってふんどし姿の男性が参加する祭りがあります。裸であることの意味

記事を読む

日本三大朝市>輪島朝市、宮川朝市、勝浦朝市

朝市とは、特定の日の早朝に開催される定期市のことをいいます。野菜や魚介類などが販売され、多くは大

記事を読む

日本三大お田植え祭り>三重県伊勢神宮、愛知県熱田神宮、福島県伊佐須美神社

日本の祭りのなかには豊作を祈願するものが多くあります。そうした祭りのうち、田植えの時期に実際に神

記事を読む

日本三大喧嘩祭り>新居浜太鼓祭、伊万里トンテントン祭り、飾山ばやし

祭りのなかには競争要素が強いものもあり、山車(だし)をぶつけあうなど激しい光景が展開されるものが

記事を読む

日本三大盆踊り>西馬音内盆踊り、群上おどり、阿波踊り

日本の夏といえば盆踊りです。地域によっては盆踊りが終われば秋のはじまり、ということもあり、季節の

記事を読む

【ミャンマー】もうすぐ世界遺産認定?今行くべきバガン

ミャンマーの首都はネピドー、経済的な首都はヤンゴンですが、日本人に

暮らすように楽しむシェムリアップ

暮東南アジアというと治安が悪いイメージがありますが、カンボジアのシ

魅惑の中東イスラエルの国情報や有名な観光地、旅のTIPSをご紹介

魅惑の中東イスラエル旅行 イスラエルに旅行なんて治安は大丈夫?と

【カンボジア女子旅】シェムリアップはお買い物天国

世界中から観光客が押し寄せるシェムリアップはショッピング天国です。

行く先々で感動を与えてくれる国イランの魅力を解剖!

イランの魅力を解剖! 制限が多くて旅行が大変そう!なんか怖い!と

→もっと見る

PAGE TOP ↑