日本三大名山>富士山、立山、白山

公開日: : 最終更新日:2016/07/08 観光・景観


日本列島は山がちな地形と山岳信仰があったこともあり、日本人は山へ深く思いをよせてきました。
そんな日本の山のなかで、とくに崇敬を集めているのが、日本三大名山です。
三大名山は三大霊山とも呼ばれ、高く美しいだけでなく、信仰の対象として親しまれてきたものです。

富士山

富士山は、言わずと知れた日本でもっとも高い山であり、三大名山に限らずあらゆる山に関するランキングのなかで常に筆頭とされる山です。
富士山は山岳信仰の対象となっており、とくに代表的なものが浅間信仰(せんげんしんこう)であり、ほかにも村山修験、富士講などがあります。

浅間信仰は、富士山の心霊とされる浅間神社を中心としたものです。
浅間神社は富士山8合目以上を境内とする富士山本宮浅間大社を総本宮とし、約13000の神社があります。
中心となっているのは静岡県と山梨県ですが、神社は全国に分布しています。
信仰の対象となっている浅間大社は、コノハナサクヤヒメとされています。
コノハナサクヤヒメは燃える小屋のなかで生まれたことから火の神とされており、それが火山である富士山と結びついたと考えられていますが、富士山本宮浅間大社の社殿では火を鎮める水の神とされており、詳細はわかっていません。
また神仏習合により、浅間大菩薩と呼ばれたこともあります。

浅間神社は、浅間造と言われる特殊な神社建築をするものがあり、また富士信仰の起源とされる山宮浅間神社は社殿を持たない神社であるなど、ほかの神社とは異なった形態をもっています。
富士信仰の原型は縄文時代以前からあったと考えられていますが、記録としては平安時代の役行者によるものがあります。
また富士山開山の祖といわれる末代上人という人物が山頂に寺を建てたという記録があり、これが富士信仰の大きな転機となりました。
また時代が下り登山や旅が大衆化することで、富士講のように村落の代表者を富士山に向かわせるという信仰形態を生むことになりました。

山としての富士山は、静岡県と山梨県にまたがる活火山であり、日本最高峰の標高3776メートルの独立峰です。
優美なシルエットから日本の象徴として、国内外で広く知られています。
その姿から信仰の対象となるだけでなく、多くの絵や文学の題材となり、芸術面でも大きな影響を与えています。
2013年には、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」として世界遺産に登録されています。

立山

立山(たてやま)は富山県東南部の飛騨山脈の山であり、最高峰の大汝山、主峰の雄山、富士ノ折立の三峰から構成されています。
いずれも3000メートル近い高さの山です。
立山も古くから霊峰とみなされ、雄山山頂に雄山神社があります。

立山で行なわれた立山修験は、立山の山域を山上他界とみなすもので、山の各所をそれぞれ浄土と地獄に見立て、山を巡礼することで死後の世界を疑似体験し、死からの再生を形式上体験したことにより超常的な力を身につけられると考えられたものです。
とくに雄山は仏そのものと見なされ、極楽浄土の象徴とされています。
こうした立山修験の世界観は、立山曼荼羅に描かれています。
立山修験の起源は、開山縁起によれば奈良時代の佐伯有若・佐伯有頼親子によるものとされ立山修験の中心となる雄山神社は、立山権現や雄山権現とも呼ばれており、イザナギノミコトとアメノタヂカラオを祀っており、もともとは仏教色の強い神社でした。
創建の時代は不明で、703年勧進されたものともいわれています。
立山は女人禁制の山であり、女性のためには布橋灌頂会という行事が3年に一度行なわれていました。
これは明治時代の廃仏毀釈で途絶えましたが、現在は地元イベントとして開催されています。

山としての立山は、北アルプスの北側で立山連峰を構成しています。
富山平野側からみると、雄大な壁のようにそびえるのが立山連峰です。
日本で氷河が見られる数少ない山であり、スポーツとしての立山登山で人気があります。

白山

白山は石川県と岐阜県の県境にある標高2702メートルの山です。
最高点の御前峰には白山比め神社奥宮があり、白山信仰の中心地となっています。
古来より「越のしらやま」と詠われる秀麗な山であり、この山を水源とする豊富な水が人々の暮らしを満たしてきたため、水神や農耕神として崇められました。
奈良時代以降は修験道の霊山として原始的な山岳信仰から現在に続く白山信仰へと変化を遂げました。

信仰の山としての白山が開山されたのは717年のことで、越の大徳と称された修験者、泰澄によります。
白山に登り瞑想していた泰澄の前に九頭竜王が出現、十一面観音の垂迹でありイザナミノミコトの化身、白山明神・妙理大菩薩と名乗ったのが、白山修験場の由来され、ここから白山信仰が始まりました。
白山信仰は中世には隆盛を極めますが、戦国時代に一向門徒に焼き討ちされて衰退、江戸時代に前田家により復興します。
明治維新の神仏分離により廃社となり、強制的に白山比め神社になりました。
現在では、白山を神体とする白山比め神社において、白山比咩大神(ククリヒメノカミ)、イザナギノミコト、イザナミのミコトを祀る形で信仰が続いています。
また周辺各県および国内各地に白山神社が鎮座しています。

山としての白山は活火山であり、山頂には15個の爆裂火口と複数の池があります。
とりわけ有名なのが、山頂にある翠ヶ池です。最近の噴火は1659年のものです。
国内では珍しい中生代ジュラ紀の地層があり、この山を水源とする手取川とともに、恐竜の化石の出土地となっています。

白山一帯は国立公園に指定されており、急峻な地形から人跡未踏の場所も数多くあります。
山頂の池をめぐる登山道などが整備されており、多くの登山客が訪れます。
池めぐりコースに含まれる池は、翠ヶ池の他に紺屋ヶ池、油ヶ池、血ノ池、千蛇ヶ池、百姓池、五色池となります。また、雪渓や万年雪など夏でも雪が見られるほか、日本有数の高山植物の花畑が広がっています。
とくにクロユリの群生地は日本最大の規模といわれています。

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