日本三大松原>三保の松原、気比松原、虹の松原

公開日: : 最終更新日:2016/07/08 観光・景観


松の樹は、比較的タフな樹木として知られており、ほかの樹では生育できないような砂や岩だらけの荒れ地でも生き延び、そして早く成長します。そのため、海岸沿いに天然の松林が形成されるケースが多々あります。また、防風林や防砂林として海岸沿いに松を植林した場所も多く、松林は日本では頻繁に目にします。
そうした松林のなかでも、とくに景観的に優れているといわれているものが、日本三大松原です。

静岡県清水市・三保の松原(みほのまつばら)

三保の松原は、静岡県静岡市清水区の三保半島の東側にある松林で、平安時代から親しまれている景勝地です。総延長7キロメートル、3万699本の松が生い茂っており、駿河湾を挟んで富士山や伊豆半島を一望する美しい景色が有名で、歌川広重などによる浮世絵でもよく知られています。また、万葉集に歌われてからは和歌の題材となっています。
三保の松原は国の名勝に指定されており、ユネスコ世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産にもなっています。
羽衣伝説の舞台となっており、天女が羽衣をかけたという羽衣の松があり御穂神社(みほじんじゃ)のご神体ともなっています。また羽衣の欠片とされるものが保存されています。羽衣の松は海没や立ち枯れなどで代替わりしていますが、現在でも元旦には多くの人が集まり、伊豆半島から昇る初日の出を拝んでいます。

三保半島そのものが、清水湾に注ぐ安倍川は運んだ砂などで形成された砂嘴(さし)であり、砂で形成された地形となります。そのため、江戸時代より地震による海没などがありましたが、現在は治水のためのダムにより土砂の流入量が減少したことから、海岸の侵食が問題となっています。また松枯れも進行しています。
こうした事態に対し、静岡県では消波ブロックなどによる護岸事業や、松の害虫駆除などの保全事業を行なっています。

アクセスは、JR清水駅、または静岡鉄道新清水駅より、しずてつジャストライン(路線バス)三保山の手線・三保方面行き乗車、羽衣の松入り口バス停で下車し徒歩15分などとなっています。

福井県敦賀市・気比松原(けひのまつばら)

気比松原は、福井県敦賀市の名勝で、万葉集や日本食にも登場する古くから知られた景勝地です。敦賀湾の奥の西半分を占める広大な松原で、長さ約1.5キロメートル、面積約40ヘクタール、平均樹齢200年のアカマツ・クロマツが生えています。日本の海岸としては珍しく、アカマツが多いのも特徴です。夏は海水浴場としてにぎわい、冬には雪化粧した松原と日本海の荒まみが織りなす壮観な景色を楽しむことができます。

古来より氣比神宮の神苑として管理されており、1570年に織田信長の越前攻略により没収されたあとは江戸時代の小浜藩の藩有林として管理され、明治以降は国有林して現在にまで残されてきました。

アクセスは、北陸本線JR敦賀駅から、福井鉄道バスの松葉町行きに12分ほど乗車、気比の松原バス停を降りてすぐとなります。
管理の一環として、害虫駆除のための薬剤散布が年に数回行われており、その際は立入禁止になることがありますので、観光の際には念のために確認しておいたほうが良いでしょう。

佐賀県唐津市・虹の松原(にじのまつばら)

虹の松原は、佐賀県唐津市の唐津湾にある松原で、幅約500メートル、長さ約4.5キロメートル、面積約216ヘクタールの範囲に約100万本のクロマツの林が続いています。弓状の松原と青い海のコントラストが見事で、海水浴場も隣接しています。
虹の松原はもともとは防風林、防砂林として植樹されたもので、17世紀に唐津藩藩主、寺沢広高(てらざわひろたか)により新田開発事業の一環としてつくられました。藩の厳しい管理により庇護され、藩主が変わっても手厚く守られてきました。明治時代には国有林となり、現在もほぼ全域が保安林として佐賀森林管理署の管理下にあります。
もともとは「二里松原」と呼ばれていましたが、明治以降に虹の松原と呼ばれるようになりました。名前が変わった理由については、わかっていません。

1960年代よりマツクイムシの被害が広がっており、薬剤散布などの対策や保全事業が行なわれています。

スポンサーリンク

関連記事

日本三大名月の里>姥捨山・石山寺・桂浜

月はなぜか人を魅力する神秘的な感じが有りますよね。 夜になると夜景を楽しむためにドライブす

記事を読む

日本三大紅葉の里>日光・嵐山・耶馬渓

秋になると、他の季節とはちが山が色とりどりになりますね。 枯れゆく葉を見るとセンチメンタル

記事を読む

日本三大夜景>函館山、六甲山、稲佐山

夜景は、観光スポットの定番としてよく引き合いに出されます。日本各地には夜景の美しさをアピールして

記事を読む

日本三大奇勝>耶馬渓、寒霞渓、妙義山

日本三大奇勝は、日本三大奇景ともいい、耶馬溪と寒霞渓、妙義山のことをいいます。いずれも、奇抜な形

記事を読む

日本三大盛り場>浅草、新京極通、千日前

大都市には繁華街や盛り場がつきものですが、日本を代表する盛り場として、日本三大盛り場というものが

記事を読む

日本三大鍾乳洞>竜泉洞、秋芳洞、龍河洞

鍾乳洞は石灰岩の地層が水により侵食されてできた洞窟のことです。 単純に洞窟であるだけでなく、水

記事を読む

日本三大松島>陸奥の松島、天草の松島、九十九島

松島というと日本三景のひとつでもある宮城県の松島を真っ先に連想しますが、一般名詞としては松の木が

記事を読む

日本三大秘境>白川郷、祖谷山、椎葉村

秘境というのは、人里離れた山奥など到達するのが困難な場所で、人も少ない地域のことをいいます。

記事を読む

日本三大美林>青森ヒバ、木曽ヒノキ、秋田スギ

日本列島は面積に占める山地の割合が高い地形をしており、山深い地域では未だに手つかずな原生林が残っ

記事を読む

日本三大古道>熊野古道、奥の細道、中仙道

日本国内には三大○○が数多く存在しています。「古道」にも日本三大はあり、三大に含まれているのは「

記事を読む

【ミャンマー】もうすぐ世界遺産認定?今行くべきバガン

ミャンマーの首都はネピドー、経済的な首都はヤンゴンですが、日本人に

暮らすように楽しむシェムリアップ

暮東南アジアというと治安が悪いイメージがありますが、カンボジアのシ

魅惑の中東イスラエルの国情報や有名な観光地、旅のTIPSをご紹介

魅惑の中東イスラエル旅行 イスラエルに旅行なんて治安は大丈夫?と

【カンボジア女子旅】シェムリアップはお買い物天国

世界中から観光客が押し寄せるシェムリアップはショッピング天国です。

行く先々で感動を与えてくれる国イランの魅力を解剖!

イランの魅力を解剖! 制限が多くて旅行が大変そう!なんか怖い!と

→もっと見る

PAGE TOP ↑