日本三大霊場>恐山、比叡山、高野山

公開日: : 最終更新日:2016/09/15 神社・仏閣


日本人はよく、自然を信仰の対象としてきたといわれますが、そうした霊的な力があるとされ信仰の場所とされたのが、霊場といわれるものです。霊場は山岳信仰の影響で山が多く、修験道や密教の発展とともに広まっていきました。平地でも寺院が建つなどして霊場とされるようになった場所があり、四国八十八ヶ所などのように巡礼の場所として親しまれているものもあります。
霊場の中でも特に大規模であったり、由緒があったりするものを日本三大霊場としています。

青森県・恐山

恐山(おそれざん)は、青森県の下北半島の中心部にある霊場です。恐山は宇曽利湖(うそりこ)を中心としたカルデラであり、その湖を取り囲む外輪山が恐山山地を形成しています。火山ガスなどの影響で荒涼とした岩場が広がる「地獄」と、青く美しい宇曽利湖と周囲の豊かな森のコントラストが特徴的な霊場といえます。
「地獄」に隣接して菩提寺(ぼだいじ)という寺があり、本坊はむつ市にある円通寺(えんつううじ)です。菩提寺は地蔵菩薩を本尊としており、古くから地蔵信仰による死者の供養の場とされていました。
恐山霊場の開山は862年であり、開祖は慈覚大師(じかくたいし)であるといわれています。

滋賀県・比叡山

比叡山(ひえいざん)は、滋賀県戸京都府の県境にある山で、古くから山岳信仰の対象となっていました。古くは日枝山(ひえのやま)と呼ばれ、平安時代に最澄(さいちょう)が天台宗を開いて以来、都の北東の方角、すなわち鬼門を抑える国家鎮護の山として信仰されるようになりました。
最澄が788年にひらいた比叡山延暦寺は、天台宗の総本山として平安仏教の中心となり、天台法華宗の教えのほか密教や禅、念仏も行なわれ仏教の総合大学というべき状態となり、のちに鎌倉仏教と呼ばれる浄土宗や臨済宗などへのレールを敷いたといえます。また、山中を巡礼する千日回峰行などの修行がいまでも続いており、信仰の山としての名残も残しています。
また、霊場としての比叡山は大山咋神(おおやまくいのかみ)が鎮座するとされていましたが、日吉神社(ひよししんこう)の創建により大己貴神(おおなむちのかみ)こと大国主神(おおくにぬしのかみ)が主神となり、延暦寺創建後には山の守り神として崇敬され山王信仰が隆盛することとなりました。明治時代になると神仏分離令により仏教色を廃され、また本来の姿に戻すとして大山咋神が主神となりました。
こうしたことから、比叡山は全国の天台宗の総本山であるとともに、日吉神社、日枝神社、山王神社の総本山となります。

織田信長による比叡山焼き討ちはよく知られていますが、そのときに山にあるほとんどの建築物が燃えてしまったため、現在のものは安土桃山文化に再建されたものとなります。とくに、豊臣秀吉は自分の幼名が日吉であったことから、日吉神社がある比叡山の再建にはとくに力を尽くしました。

比叡山は霊場とされていることから殺生禁断とされている地域があり、そこでは野生動物や植物の貴重な姿が確認でき、鳥類の繁殖地ともなっています。通常のルートであれば登山も盛んであり、ロープウェイや登山道などで比較的容易に登ることができます。夏では平地の京都市内との気温差が5℃程度あるとされ、涼をとるにももってこいといえるでしょう。

和歌山県・高野山

高野山(こうやさん)は、和歌山県北部にある標高約800メートルの平地であり、周囲を1000m級の山々に囲まれています。「高野山」という山があるわけではなく、その平地全体を高野山と呼んでいます。また、全体が和歌山県伊都郡高野町(わかやまけんいとぐんこうやちょう)となっています。
816年、空海(くうかい)が嵯峨天皇(さがてんのう)より高野山を下賜され、修行道場として金剛峰寺(こんごうぶじ)を開き、真言宗の総本山、日本仏教の聖地のひとつとして知られるようになりました。また、2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコ世界遺産に登録されています。
高野山が仏教の聖地にふさわしいとされた理由についてですが、8つの山に囲まれた姿が蓮の花の開いた形に似ているためです。

高野山には高野山真言宗総本山金剛峯寺のほか、117の寺院があり一代宗教都市となっています。歴史的に貴重な建築物が多数あるのはもちろんのこと、奥の院には空海の御廟のほかに多数の貴族や大名の墓所もあります。とくに戦国武将の過半数は高野山にも墓を置いており、一度に多数の有名武将に墓参できることから戦国ファンにとっても聖地といえる場所となっています。
また、真田昌幸、信繁が蟄居していた九度山は、高野山の麓にあります。

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