名所・逸品に出会う旅>富山県富山市
公開日:
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最終更新日:2017/01/23
北陸地方
逸品編
富山湾の海の幸、立山連峰の山の幸、清らかな水で育まれた農産品、それぞれの食材の美味しさを先人達から受け継いできた富山の伝統料理をご紹介していきます。
大自然の幸と技が生み出す伝統の味「ます寿司」
「ます寿司」とは、鱒を酢で味付けた押し寿司のことです。
木製の「わっぱ」という丸い木箱の底に、まず笹の葉を敷いて酢飯を葉の上に詰めこんでていきます。
そして、酢飯の上に酢付けした「サクラマス」の切身を並べ、最後に笹の葉でくるんだ蓋をして押して作っていきます。
「ます寿司」は、富山藩主の前田利興がお気に入りだった「鮎寿司」を、8代将軍徳川吉宗に献上したところ、大いに喜んでいただいたそうで、その製法を「鱒」にも使用して「ます寿司」が誕生し、後に富山の名物となった逸品です。
親鸞聖人の好物だった「いとこ煮」
富山県は浄土真宗にゆかりのある土地で、親鸞聖人が亡くなった1262年(弘長2年) 11月28日(新歴1月16日)を忌日とし、それぞれ前7日を「お七様」と言い報恩講を営むそうです。
この時期に根菜類の煮物を作る「遺徳煮」が「いとこ煮」の由来だそうです。
「いとこ煮」は、大根、人参、牛蒡、里芋などの根菜に、油揚げとコンニャクを入れて煮ていきます。
あらかじめ下煮しておいた小豆をその鍋に加え、味噌と醤油で味つけしたものが「いとこ煮」です。
富山の寒い冬には小豆と根菜類の温かい煮物は、じんわりと身体が温まる逸品です。
漬け込み旨みを醸す伝統の寿司「かぶら寿司」
伝統的な越中料理「かぶら寿司」は、なれずしの一種ですが食材は野菜の「かぶ」です。
2センチくらいの厚みの輪切りにし、厚みの真ん中にあらかじめ切り込みを入れておき、鯖や鮭の切り身を挟んで麹に漬け込んで発酵をさせていきます。
鯖や鮭の脂の旨味が甘みのある「かぶ」にしみ込んでいき、麹のふくよかな酸味と絡み合い絶妙な味わいを生んでいます。
かぶら寿司発祥には諸説ありますが、江戸時代から郷土料理のひとつとして浸透し、
地元の人々に今日まで親しまれてきたようです。
じっくりと時間をかけて育った「かぶ」は、素材のしゃっきりとした歯触りときめの細やかな肉質を持ち甘みが多く蓄えられています。
富山のお正月に欠かせない逸品かぶら寿司は、正月に食べるときに味がなじむように、各家庭では年の暮れに漬け込むのが習慣のようです。
時の流れは経ても、ふるさとの味は変わることなく人々に伝え続けられています。
それが、まさに地域の伝統料理というものなのです。
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