日本三大水城＞高松城、今治城、中津城

江戸時代に城の分類がおこなわれますが、城のうち平地にあるものを平城といいます。
その平城のなかでも、海や川などに隣接し、その水を防御のための濠として利用しているものを水城といいます。
また、海や川などに隣接した山につくられた城も水城と呼ばれます。

水城は水を利用することから平地につくられることが多いのですが、山にあっても防御に水を用いていれば、水城と呼ぶということです。

日本三大水城としては、高松城、今治城、中津城が挙げられますが、いずれも平地にありますので、水城であると同時に平城でもあります。

香川県・高松城

高松城は香川県高松市玉藻町にあった城で、別名を玉藻城といいます。
高松城といえば、水攻めされた備中松山城を思い浮かべる人も少なくないでしょう。この高松城は、水城として名高い城であり、水攻めされたわけではありません。

高松城は、豊臣秀吉の四国制圧ののち領主となった生駒親正により1587年に築かれました。
江戸時代初期、水戸光圀の兄である松平頼重により、現代に残る形に改修されています。

特徴として、海の水を引き込んだ海城であり、その最初にして最大の例であることが挙げられます。
瀬戸内海に面した高松は海運が盛んであり、戦争にも水軍が使われました。

そうした地域柄から、城で直接水軍が運用できること、人や物資の搬入が容易になるように考えてつくられているのです。この設計については誰がしたのか諸説あり、黒田如水によるもの、細川忠興、小早川隆景、藤堂高虎など名将や築城の名手と言われた人物が名を連ねています。
そうした名前が出るくらい、この高松城が優れているといえます。

明治時代になると、濠の多くは埋め立てられてしまいますが、現代でも残った外堀と内堀には海水が引きこまれ、貝が生息し鯛の養殖もされています。
1950年、北の丸月見櫓、北の丸水手御門、北の丸渡櫓、東の丸艮櫓が、2012年には松平家別邸であった披雲閣が重要文化財に指定され、1955年には高松城が国の史跡に指定されています。

また2007年から2012年にかけて、天守台の解体補強工事がおこなわれています。
現在は高松市玉藻公園として一般公開されています。

愛媛県・今治城

今治城は、愛媛県今治市通町3丁目にあった城で、別名を吹揚城といいます。今治は瀬戸内海の海運の要衝として栄えた街で、今治城も海を活かし堀に直接海水を引き入れる構造となっています。
今治城は1602年に藤堂高虎により築城がはじまり、2年後に完成しています。

効率的な都市経営のためにつくられた城でもあるため、内部に武士の屋敷を備えるなど広大なつくりとなっていました。藤堂高虎自身は1609年に現在の三重県津市へと移りますが、今治は飛び地として領有が続いたので、養子の高吉が残りました。

1635年、高吉に代わって松平定房が城主となり、明治維新まで松平氏の居城となります。
今治城は江戸時代を通してその城郭を維持し続けましたが、明治期にほとんどの建物が破壊され、江戸時代の姿を残しているのは石垣と内堀のみです。

1980年、鉄筋コンクリート製の天守が建てられますが、実は今治城は資料不足により天守があったのかどうかはっきりとわかっていないため、この天守は模擬天守となっています。

大分県・中津城

中津城は大分県中津市二ノ丁にあった城で、周防灘に流れ込む中津川の河口につくられた城で、堀に海水を引きこんでいるのが特徴です。

1588年、黒田如水が築城をはじめ、1600年に領主となった細川忠興の手によって完成しました。
江戸時代になり何度か城主が変わり、最終的には奥平家の居城となりました。また西南戦争の際には、一部の建築物が焼失しています。

1964年、旧藩主奥平家が中心となり、市民の寄付なども合わせて観光用の模擬天守が建てられました。
この天守は山口県の萩城をモデルとしており、奥平家歴史資料館として一般公開されています。
実際には、中津城に天守があったかどうかは判明していません。

宿・ホテル予約の「るるぶトラベル」の公式ページです