日本三大湖沼>十和田湖、富士五湖、琵琶湖

公開日: : 最終更新日:2016/07/08 自然


日本三大湖沼といわれているのが、十和田湖(とわだこ)、富士五湖(ふじごこ)、琵琶湖(びわこ)です。

十和田湖(青森・秋田)

十和田湖は、青森県十和田市(とわだし)と秋田県鹿角郡小坂町(かづのぐんこさかまち)にまたがる湖で、国内では12番目の面積をもちます。また深さは日本で3番目となります。県境については、江戸時代から不明瞭であり、廃藩置県後も青森県と秋田県の県境が定まっていませんでした。2008年になりようやく県境が確定しています。

十和田湖周辺にはブナ林が広がっており、クマタカやイヌワシ、ツキノワグマなどの野生動物が多く生息しています。しかし湖は栄養に乏しいために生物は少なく、サワガニしかいなかったと考えられています。のちに人の手により様々な魚の放流が試みられたものもことごとく失敗し、ヒメマス、ニジマス、イワナ、サクラマス、スジエビなどが定着に成功しています。とくにヒメマスは和井内貞行(わいないさだゆき)の尽力により定着し、現地の名物となっているほか、スジエビも十和田エビとして販売されています。

十和田湖は、湖面や周囲の山の美しさから観光地としても知られています。とくに、湖から唯一流れ出る河川である奥入瀬川(おいらせがわ)の渓流は周囲のブナ林やタケカンバ林と相まって景勝地として知られており、多くの観光客が訪れます。十和田湖、奥入瀬渓流ともに新緑の季節と紅葉はとくに見応えがあり、湖の周辺には山桜が点在しているので少し遅めの花見を楽しむこともできます。
奥入瀬渓流は青森県側にあることから、十和田湖を訪れる際には青森からのエントリー以外は選択する意味がないといってもよいほどですが、冬のあいだに行なわれるイベントには青森側の道路の通行が制限されるため、秋田側からのアプローチがおすすめとなります。
また湖の遊覧船は子ノ口港(ねのくちこう)と休屋港(やみやこう)を往復しており、これらの港の周辺にある施設が、観光の拠点ともなります。とくに休屋には、多くのホテルや商店などが立ち並び、近年に掘削により整備された温泉もあります。

十和田湖は火山の噴火で形成されたカルデラ湖で、最初の噴火により形成された湖にあった島が火口となって再び噴火して吹き飛び、いまの形になりました。こうした構造の湖を、二重カルデラ湖といいます。十和田湖が形成された時の噴火による火砕流は北東北を広範囲に焼きつくしており、その名残は各地の地層に見られるほか、秋田県に伝わる民話「八郎太郎」のモチーフになったとも考えられています。

アクセスとしては、深い山中にあるので最寄り駅からの公共交通機関では1時間以上を要するうえに運行本数も多くはないので、自動車などでの来訪がおすすめとなります。

富士五湖(山梨県)

富士五湖は、富士山麓の山梨県側にある5つの湖のことで、本栖湖(もとすこ)、精進湖(しょうじこ)、西湖(さいこ)、河口湖(かわぐちこ)、山中湖(やまなかこ)ならなります。これらは国の名勝であり、世界文化遺産「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」の一部ともなっています。

富士五湖は富士山の火山活動により形成された堰止め湖であり、溶岩によって埋められることで川がせき止められたり大きな湖が分断されたりして、いまの形になっています。
800年に起きた延暦の大噴火により、桂川が溶岩でせき止められたことにより、山中湖が形成されました。また、西湖と本栖湖はもともとは「せの海と」いう大きな湖でしたが、これが貞観噴火による溶岩流埋め立てられた結果、西湖と精進湖が生まれました。せの海はもともとは本栖湖とも一体であったことががわかっており、そのためか本栖湖と西湖、精進湖は水位が連動しています。これは、地下ではまだ3つの湖がつながっているためと考えられています。また、このときの溶岩流の上に形成された森林が、かの有名な青木ヶ原樹海となります。
桂川のせき止めで形成された山中湖のみが流出河川を持ち、のこり4つの湖は内陸湖となります。ただし、河口湖、西湖、本栖湖は治水や発電などのために人口放水路がつくられており、とくに江戸時代に河口湖に開かれた新倉掘抜(あらくらほりぬき)が知られています。

本栖湖

富士五湖最西端にある湖で、水深がもっとも深い121.6メートルとなっています。また、逆さ富士のモデルとしてもよく知られています。
ウインドサーフィンなどレジャーの場として知られ、遊覧船観光や釣り、キャンプなどが盛んです。

精進湖

精進湖は西から2番目、東からは4番目にある湖で、他の湖に比べると観光開発が進んでいない大自然の絶景を楽しむことができます。とくに、精進湖北岸からの富士山は最も美しいといわれています。

西湖

富士五湖の中央にある湖です。もともとは魚がいない湖でしたが、漁業目的による放流によりヒメマスが定着し、漁業だけでなく釣りでも人が集まるようになりました。また、秋田県の田沢湖の固有種であったクニマスが放流されていましたが、消息不明となっていました。クニマスは田沢湖の開発により絶滅してしまいましたが、2010年に西湖での生息が確認されたため、国内で魚類では唯一の絶滅種の再発見となり、大きな話題を呼びました。

河口湖

河口湖は富士五湖の東から2番目にある湖で最も北に位置します。最も早く観光開発され、とくに平成になってから掘削された温泉により富士河口湖温泉郷が形成されたことで、ますます観光地としての価値が高まりました。また国内では珍しくブラックバス釣りが公的に認められた湖で、バスフィッシングの全国的なメッカとして知られています。

山中湖

富士五湖では最も東にある湖で、相模川の源流でもあります。標高が高いわりに水深が浅いことから全面凍結することでも知られています。1919年にワカサギの放流が成功し、冬季にはワカサギの穴釣りが楽しめるようになりました。また、近年では養殖されたブラックバスによるバスフィッシングが釣り人を多く呼び寄せています。
保養所や観光施設も多く、年間400万人近い観光客が訪れます。テニスコートが多くテニス合宿地として知られるほか、サイクリングロードもあります。

琵琶湖(滋賀県)

琵琶湖は滋賀県にある日本最大の面積を誇る湖で、669.23平方キロメートルを誇ります。その広さのため、滋賀県の1/6がこの琵琶湖の水面となります。水深は、琵琶湖大橋より北側の北湖で平均41メートル、南側の南湖で平均4米となります。
水源は周辺の山地であり、湖から流れでた川は瀬田川(せたがわ)、宇治川(うじがわ)、淀川(よどがわ)と名前を変えて大阪湾に至り瀬戸内海に注ぎます。淀川流域の上水道として利用され、京都市内には琵琶湖疏水から水を送っています。

琵琶湖は水上交通に活用されており、その周囲に物資輸送の中継地として商業都市がいくつか栄えました。大津(おおつ)、堅田(かたた)、米原(まいばら)、長浜(ながはま)などが港町として栄えてきました。これらの港から、京都・大阪と東国・北陸の物資輸送や文化交流などが行なわれ、それらに携わる商人は近江商人と呼ばれ日本各地の商業活動に大きく貢献していました。
当時の交通事情から生まれたことわざが、「急がば回れ」です。大津と草津の間に湖をわたる「矢橋の渡(やばせのわたし)という渡せ船がありましたが、運休が多かったことから遠回りして別の船に乗ったほうがかえって早い、と和歌に唄われたことが元ネタとなっています。

また琵琶湖は、世界でも20ヶ所ほどしかない古代湖のひとつとしても知られています。古代湖は100万年以上前から存在する湖のことで、琵琶湖には50種以上の古代種を含む魚類や底生動物などの豊富な生物が育まれていました。琵琶湖の周辺には大小40あまりの内湖があったため、それらに多くの生き物が生息していたのです。しかしながら、治水と都市化のためにそうした湖が失われ、生態系が大きく損なわれました。さらに昨今ではブラックバスなどの外来種の侵入により追い打ちがかけられている状況です。これに対し、内湖の復元計画を含めたいくつかの生態系回復と水質浄化に向けた計画が滋賀県により進められています。

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