温泉の泉質の種類・効能・代表的な温泉地をご紹介

公開日: : 最終更新日:2016/07/08 温泉


地中からわき出している温泉には、さまざまな物質が含まれています。
それらの物質のうち、温泉法によって定められている18種類の物質が、温泉1kgあたりどれだけ含まれているかによって泉質が分類されるのです。
温泉は、含まれる鉱物の作用により温熱効果がありますが、泉質によって特徴が異なり、その違いを理解することで自分の体質に合った泉質を見極めることができます。

しかしながら、温泉療法の効果が出るまでは個人差がありますし、たいていの場合は1ヶ月以上かかるといわれていますので、はじめにしっかりと泉質の効能を理解しておいてから、泉質を選びましょう。
ここでは、9種類の泉質の特徴やその効能、代表的な温泉地についてご紹介しますので、ぜひ参考情報としてお役立てください。

単純温泉

定義・特徴

泉温が25度以上で、温泉水1kg中の溶存物質が1gに満たない温泉水が単純温泉に分類されます。
単純温泉はほとんどpH8.5未満の中性から弱アルカリ性を示しますが、pH8.5以上のアルカリ性を示すものもあり、その場合はアルカリ性単純温泉と分類されているのです。
単純温泉は含有成分量が少ないので、刺激が少なく肌にやさしい温泉で、おおむね無色透明・無味無臭となっているのが特徴です。

単純温泉は成分の少ない温泉、低品質の温泉だと思われやすいのですが、単純温泉は成分の含有量のみを評価しているので成分の種類について規定されたものではありません。
これにより、単純温泉といっても全国各地それぞれの泉質は千差万別であり、単純に比較や分類はできないのです。
成分の組成比により、各種泉質の性質を帯びる場合もあり、さまざまな成分を少しずつ含んだバランスの良い泉質となっている温泉も存在しています。

効能

単純温泉は、疼痛(とうつう)や末梢循環など温熱一般の作用のほかに、塩を利用した化学作用による皮膚疾患や外傷の療養に効果があります。

代表的な温泉地

単純温泉

阿寒湖(北海道)、鹿教湯(長野県)、下呂(岐阜県)、伊東(静岡県)、箱根湯本(神奈川県)、層雲峡(北海道)、宝川(群馬県)

アルカリ性単純温泉

湯瀬(秋田県)、越後湯沢(新潟県)、鬼怒川(栃木県)、谷川(群馬県)、石和(山梨県)、飯坂(福島県)

塩化物泉

定義・特徴

塩化物泉は塩分を含んだ温泉のことです。
温泉水1kg中の溶存成分が1,000mgを超え、陰イオンの主な成分が塩化物イオンのものが塩化物泉に分類されます。
食塩系の塩化物泉は、汗の発汗や蒸発を抑える作用があるので、湯冷めしにくいのが特徴です。
また殺菌効果にも優れており、外傷治癒にも効果があります。

主成分が塩分なので、飲泉すると塩からく、塩分濃度が高い場合は苦く感じますが、温泉自体は無色透明です。
しかしながら、一部では黒湯となる場合もあります。
塩分が含まれているので、入浴後は肌のべたつきが気になることがありますが、保温効果が高く、「熱の湯」とも呼ばれている温泉です。

効能

浴用

神経痛、筋肉痛、関節痛、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、冷え性、疲労回復などの一般的適応症のほかに、切り傷や火傷、慢性皮膚病など皮膚疾患にも効果があります。

飲用

飲用した場合は、慢性便秘や慢性消化器病の改善効果を期待することが可能となっています。

代表的な温泉地

ニセコ(北海道)、旭(北海道)、定山渓(北海道)、四万(群馬県)、秋保(宮城県)、熱海(静岡県)、稲取(静岡県)、湯平(大分県)

炭酸水素塩泉

定義・特徴

炭酸水素塩泉とは、アルカリ性の泉質で、重炭酸土類泉と重曹泉の2種類に分けられます。
温泉水1kg中に含まれる含有成分が1,000mg以上あり、その中で重炭酸ソーダを340mg以上含んでいるものが炭酸水素塩泉に分類されるのです。
アルカリ性を示す温泉が多く、無色透明で肌がツルツルになる効果があるため「美肌の湯」と呼ばれます。

とりわけ重曹泉は皮膚を柔らかくし汚れを取る効果があることから、美肌効果が期待できるのです。
日本各地の炭酸水素塩泉の中でも、兵庫県の有馬温泉や、大分県の長湯温泉のような炭酸を多く含んでいる場合は、「炭酸泉」とも呼ばれます。

効能

浴用

神経痛、筋肉痛、関節痛、打ち身、冷え性、疲労回復などの一般的適応症のほかに、切り傷や火傷、慢性皮膚病の改善効果があるといわれています。

飲用

肝臓病、糖尿病、慢性消化器病、痛風の改善効果が期待できるでしょう。

代表的な温泉地

重炭酸土類泉

島原(長崎県)、御宿(千葉県)、鹿沢(群馬県)、赤倉(新潟県)

重曹泉

人吉(熊本県)、龍神(和歌山県)、川湯(和歌山県)、支笏湖(北海道)

硫酸塩泉

定義・特徴

硫酸塩泉は、アルカリ金属やアルカリ土類金属の硫酸塩が主な成分です。
温泉水1kg中に含まれる含有成分が1,000mg以上あり、そのうち陰イオンの主成分が硫酸イオンのものが硫酸塩泉に分類されます。
無色透明で苦味のある温泉で、古くから薬効が高いとされ、中風の湯」「脳卒中の湯」「傷の湯」と呼ばれ、数ある温泉の種類の中でも横綱級で「薬湯」といえるでしょう。
また、含まれる陽イオンによってさらに4種類に分けられます。

●硫酸マグネシウム・・・正苦味泉
●硫酸ナトリウム・・・芒硝泉
●硫酸カルシウム・・・石膏泉
●硫酸鉄・・・緑礬泉(鉄泉に分類される)

効能

浴用

神経痛や筋肉痛、関節痛、運動麻痺、打ち身、痔疾、冷え性など一般的適応症のほか、動脈硬化症や切り傷、やけど、皮膚病の改善効果があります。

飲用

慢性胆嚢炎、胆石症、肥満症、糖尿病、痛風、慢性便秘に効果的です。

代表的な温泉地

正苦味泉

地獄谷(長野県)、旭岳(北海道)、十勝岳(北海道)、オンネトー(北海道)

芒硝泉

尖石(長野県)、湯宿(群馬県)、須賀川(福島県)、遠刈田(福島県)、大森(福島県)、赤倉(山形県)、天童(山形県)、浅虫(青森県)、川尻(岩手県)

石膏泉

白布(山形県)、法師(群馬県)、尻焼(群馬県)、四万(群馬県)、猿ヶ京(群馬県)、水上(群馬県)、川原湯(群馬県)、赤倉(新潟県)、湯河原(神奈川県)

緑礬泉

恐山(青森県)、微温湯(福島県)、草津(群馬県)

二酸化炭素泉

定義・特徴

二酸化炭素泉は二酸化炭素を含む温泉のことです。
温泉水1kg中に遊離炭酸を1g以上含む温泉や鉱泉が二酸化炭素泉に分類されます。
炭酸が含まれるため、細かい泡が出るので「泡の湯」や「ラムネの湯」と呼ばれているのです。
無色透明で酸味があり、清涼感のある泉質となっています。

二酸化炭素による気泡が肌に付くと、爽快感を感じることができますが、日本には存在が少ない泉質です。
血管拡張作用があり、血圧を下げる効果があるので、高血圧の方や心疾患の方におすすめの温泉となっています。

天然の二酸化炭素泉

日本国内では天然の炭酸含有温泉は多くなく、炭酸水素ナトリウムや食塩などを含まない二酸化炭素泉となると数が限られるが、大分県の白水鉱泉はほぼ炭酸成分のみで構成されている単純二酸化炭素泉です。
さらに大分県の長湯温泉は、単純二酸化炭素泉と炭酸水素塩泉の2つの炭酸含有泉があります。

効能

浴用

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、冷え性、疲労回復、健康増進など一般的適応症のほかに、高血圧症や動脈硬化症、切り傷、やけどをいたわることができるでしょう。

飲用

慢性消化器病や慢性便秘の改善に効果的であるとされています。

代表的な温泉地

長湯(大分県)、辰頭(熊本県)、湯村(兵庫県)、肘折(山形県)

含鉄泉

定義・特徴

含鉄泉には2種類あり、炭酸鉄泉と緑ばん泉です。
温泉水1kg中に総鉄イオンを20mg以上含んでいるものが含鉄泉に分類されます。

わき出したときは無色透明ですが、空気に触れ酸化すると黄色や赤色など茶褐色に変色し、効能も弱くなるのです。
赤湯と呼ばれる温泉のほとんどが、鉄泉となっています。
含鉄泉は保温効果に優れているのが長所であり、飲用すると鉄分補給にピッタリです。

効能

浴用

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、慢性消化器病、冷え性、疲労回復、健康増進など一般的適応症のほかに、女性特有の悩みである月経障害にも良いといわれています。

飲用

含鉄泉には鉄分が多く含まれているため、飲用すると貧血改善に効果的であるとされています。

代表的な温泉地

鉄輪(大分県)、有馬(兵庫県)、天狗(長野県)、赤湯(福島県)

硫黄泉

定義・特徴

硫黄泉は硫黄成分を含んだ温泉水のことです。
温泉水1kg中に総硫黄を2mg以上含有したものが硫黄泉に分類されます。
硫化水素特有の卵が腐ったような臭いがし、わき出し直後は無色透明ですが、空気に触れ酸化すると白濁〜黄色調になるのが特徴です。
黄白色の沈殿物は「湯の花」とも呼ばれます。

硫黄泉は苦味があり、入浴すると肌荒れ(湯負け)しやすいのも特徴です。
血管拡張作用のほかに、強酸性なので殺菌作用が高く、皮膚疾患や外傷に効果的で、ニキビや吹き出物改善にも効果があります。
薬用効果が高いので、古くから万病に効くとされ、温泉愛好家に好まれている泉質です。

しかし火山付近にわき出ることが多く、火山ガスによる事故が多く、入浴時は換気が不可欠となっています。
また硫黄泉は、遊離炭酸や硫化水素を含まない単純硫黄泉と、炭酸ガスや硫化水素を含む硫化水素泉との2種類に分類されているのです。

効能

浴用

神経痛、筋肉痛、運動麻痺、打ち身、冷え性、疲労回復など一般的適応症や、慢性皮膚病、慢性婦人病、切り傷や糖尿病に効果があるとされています。

飲用

糖尿病や痛風、便秘や下痢に良いといわれています。

代表的な温泉地

単純硫黄泉

登別(北海道)、繋(岩手県)、玉川(秋田県)、戸倉上山田(長野県)、別所(長野県)、万座(群馬県)、日光湯元(栃木県)、雲仙(長崎県)

単純硫化水素泉

孫六(秋田県)、黒湯(秋田県)、岩泉(岩手県)、大沢(岩手県)、野地(福島県)、老神(群馬県)、湯田中(長野県)、熊の湯(長野県)、霧島神宮(鹿児島県)

酸性泉

定義・特徴

酸性泉は、多量の水素イオンを遊離した硫酸や塩酸の形で含有する温泉です。
温泉水1kg中に水素イオンを1mg以上含んでいるものが酸性泉に分類されます。
温泉水は高温の場合が多く、また酸味があり殺菌力が強く、肌にしみるほどの刺激があるのが特徴です。

慢性皮膚病などの治療に用いられますが、敏感肌の方や肌が弱い方には向きません。
酸性泉は皮膚疾患や外傷に効果があることから、療養泉に分類される温泉です。
また酸性泉には、時に硫化水素や明礬(みょうばん)、緑礬(りょくばん)などを含む場合があり、それぞれ酸性硫化水素泉、酸性明礬泉、酸性緑礬泉と呼ばれます。

効能

泉質に基づく効能として、酸による殺菌効果による効能が特徴となっています。

浴用

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、疲労回復、健康増進、冷え、打ち身などの一般的適応症と、慢性皮膚病や高齢者の皮膚乾燥病に効果があると評価されています。

飲用

慢性消化器病や下痢に効果的とされています。

代表的な温泉地

蓼科(長野県)、岳の湯(福島県)

放射能泉

定義・特徴

放射能泉は、微量の放射能を含んだ温泉水のことです。
温泉水1kg中にラドンを3ナノキュリー以上含有しているものが放射能泉に分類されます。
含まれる放射能の種類として、ラジウムやラドンがあり、それぞれラジウム泉やラドン泉と呼ばれていますが、放射能自体は微量なので人体に影響はありません。

放射能と聞くと、「危険」とイメージされやすいですが、微量の放射能は人体に良い影響を与えると実証されており、生態の免疫機能を高めたり、ストレスを和らげたりする作用があるとされています。

効能

浴用

神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、冷え性、疲労回復、健康増進のほかに、痛風や高血圧症、動脈硬化、慢性皮膚病、慢性婦人病、胆石症や慢性胆嚢炎にいいと評価されています。

飲用

痛風や慢性消化器病、慢性胆嚢炎、胆石症、神経痛、関節痛、筋肉痛に良いといわれています。

代表的な温泉地

養老(広島県)、三朝(岡山県)、有馬(兵庫県)、赤石(山梨県)、赤石(山梨県)、増富(山梨県)このように、日本国内には多くの温泉地があり、また泉質の違いによる効用が異なるのがご理解いただけたのではないかと思います。
どの泉質も、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、疲労回復、健康増進といった一般的適応症に効果があるのが特徴です。

しかしながら、一般的適応症以外に効く症状は泉質によって異なりますので、温泉療法を望む場合は、自分の体に合った泉質を選ぶことが大事なポイントとなります。
また、温泉療法の場合は2〜3日つかった程度では効果は出ず、少なくとも1ヶ月以上温泉につかることが必要となる場合がほとんどです。
さらに自分の対策したいトラブルに合った泉質を選択しなければ、全く変化の実感が得られないということもあるため注意が必要といえるでしょう。

温泉につかることを無意味にすることなく、より効果を出すためには、はじめから自分に適した泉質をしっかりと見極めることが早期の症状改善に繋がります。
また飲用することでも効果が得られるものがありますので、温泉地に通うことが難しい場合は、温泉水を購入すると良いでしょう。
ご自分の疾患に合う泉質を見極める際、かかりつけの内科医などに相談し、アドバイスを受けるというのも泉質を見極めるうえで良い手段です。
日本国内には多くの温泉があるので、ぜひご自身に合った泉質を見つけてみてください。

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